リフォームの未来【4】

今回は、未来のリフォーム業界の行方と、顧客・業者双方が適応していくべきポイントについて考察していきます。
DIYで、品質を見分ける目を養う
日本でも、10年後、20年後には、DIY(Do It Yourself:自分で物を作ったり、修繕すること)が当たり前になると予想しているのですが、これは大変なことだと思います。
重い資材を調達し、現場まで運んで自分で施工することは、今まで業者にまる任せで日曜大工の機会も失っていた日本人には、相当にハードルが高いことです。さらに、工業製品に慣れ過ぎてきたために、良い材料を見分ける目もありません。
ただし、これはチャンスなのかも知れません。DIYによって、日本人は物の価値を見抜く目を、もう一度養うことが出来るかも知れないからです。
たとえば、無垢のフローリングを自宅の床に使いたいと思い、材料を選び、実際に自分で張ったとします。何年か経ってくると、無垢の木は、必ず反ってきます。自然素材が、人工のフローリング材と比べて良いかというと、意外にそうでもない点が多々あります。
天然素材の質感と風合いは本当に素晴らしいですが、日焼けにも傷にも弱く、ワックスを塗るなどの日常的、定期的な手入れが必要であり、徐々に反ってもくるので、つまずいて転倒するリスクもあります。
こういう煩わしさは、工場の量産フローリングであれば品質は均一なので、手入れも必要なく楽だという利点があります。その代わり、天然素材のような、経年によって増していく味わいはありません。ただ、古びてみすぼらしくなるだけです。
こういったことも、自分たちで作ったり触れたりすることで、天然素材の味と扱いの難しさ、人口素材と本物の素材の違いなどに精通し、物の価値についてのリテラシーが身につくのかなと思ったりします。
専門スキルという付加価値を見直す
DIYをすることで、施工の難しさについても身をもって理解するため、職人へのリスペクトも育みます。
職人の作業に対する代金は、おおむね一律の人工代で決まっていますが、今後は職人の腕の良し悪し、作業の難易度で、料金が変わるようになるでしょう。
良い職人を雇うには、それだけ高いフィーを払わなければいけない。これだけしか払えないのであれば、料金に見合った技術者しか雇えない。
職人のみならず、設計士、コーディネーターなどの専門職に対する対価も同様です。
知識を要する専門家のキャリアを通じて得た経験、スキル、知識に対して、日本の市場は長年、過小評価し、無自覚に提供し続けてきました。リフォームする顧客は、特別なフィーを払わず、無償で専門家の提案を受けることが出来てきました。
しかし、これらの付加サービスも、今後はカウンセリングを受けるだけで別料金を払う必要があるようになると思います。最近は、スマホの機種変更や契約更新時に、設定などを手伝ってもらう場合に、別料金を払わないとやってもらえなくなっていることと同じですね。
こうした、専門家の知見を重用しない雇用環境、それに付随する、市場でのプロの社会的な地位向上が進まなかったことも、建設業界全体で適正ある人材が不足する原因ともなったと思います。
価値ある工事へのシフトとリフォームの未来
予算がないから、腕の良い職人に依頼できない。インテリアコーディネーターに内装の相談をしたいが別途フィーが必要だな、など。そろそろ、そういうコスト感覚を、消費者も持たなければいけない時代だと思います。
そして、我々、リフォーム業者側も、「安さ」ではなく「価値」に重点を置く、意識の転換が求められます。顧客に「適正価格」と「リフォームの価値」を理解してもらえるよう、「価値ある工事・品質・サービス」を提供できる企業である必要があります。
最後に、リフォーム市場の変化を検証してまいりましたが、冒頭の問題提起に戻ると、以上のような点を鑑みると、やはり、圧倒的な付加価値を提供できる高スペックな会社か、地を這うような値段でも利益を生み出せる大手チェーンしか生き残れないという、非常にシビアな未来が予測できるのです。
我々が生き残りをかけて、目指すべきはどちらなのかは明らかですが、一方の消費者側も、手頃な費用で均一なサービスを受けることが出来ている現状からは、今後は離れていくと思います。
配管や電気の配線、耐震補強など、専門業者でなければ出来ない工事のみを外注し、それ以外の大工工事や内装は、自らDIY。
顧客も、業者も、今までと同じマインドセットでは通用しない時代に突入したことは確かです。
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