職人という選択肢 ~未来をつなぐキャリアとして~

リフォームのご相談をいただくお客様の中に「うちの子、職人に向いているかしら?」という声を、時々聞くことがあります。
実は、こういった質問をいただくと、内心ガッツポーズで嬉しく思っています。というのも、建設業に携わる者として、未来の職人が育ってくれることは本当にありがたく、業界の未来につながる希望そのものだからです。
もちろん、私は「全員職人になってくれ!」と思っているわけではありません。あくまで、キャリアの有望な選択肢のひとつとして、職人という業種がもっと広く知られ、尊重される世の中になってほしいと願っているだけなのです。
技術の継承が危機に瀕している
今のところ、建設業界では、働き盛りの「団塊ジュニア世代(1971~74年生まれの人口ボリュームゾーンのこと)」が業界を支えているので、今のところは人手不足ながらも、なんとか可動している状況です。
でも、私が本当に心配しているのは、もっと先の未来。たとえば、10年後、20年後、さらに先の建設業界です。今、技術の継承が間に合わなければ、私たちが長年積み上げてきた「職人の技」が、いずれこの世から消えてしまうかもしれないのです。
だからこそ今、次の世代が職人として育つ環境を整えることが急務です。そして、それは「特別な人がなるもの」ではありません。もっと身近な、誰でも目指せる選択肢のひとつなのだということを伝えたいのです。
学歴は必要?
「職人になるには、どんな学歴が必要ですか?」という質問もよく受けますが、正直なところ、学歴はほとんど関係ありません。
もちろん、読み書きができること、基本的な常識が備わっていることは大前提ですが、それ以上に大切なのは、「人の話を素直に聞けること」や「手を動かし続ける根気強さ」です。
今の時代、勉強が得意でなくても、スマートフォン一台あれば、いろいろな知識にアクセスできるし、工具や資材の扱い方だって教えてもらえます。だからこそ、無理に大学進学を目指すより、「手に職をつける」という進路を選ぶのも立派な選択だと思います。
ちなみに、私が関わっている職人の中には、大卒の方もいます。非常に珍しいケースで、ヤンキー出身者が多い中では雰囲気が違い、落ち着いた印象を受けます。とはいえ、学歴の有無が仕事の良し悪しを決めるわけではありません。
「学びたい」という意思があるなら工業系の大学に行くも良し、そうでなくても、現場で技術を磨けばいい。それだけのことです。
資格取得は必要?
同じく、職人の道を目指す上で、資格が必要かもよく質問されます。
たとえば、大工さんを目指す場合、将来的に独立して公務店を立ち上げることを考えると、「二級建築士」や「木造建築士」の資格があると心強いのは確かです。
また、「一級建築士」の資格を持っている職人さんも少数ながらいらっしゃいます。これは非常に難易度の高い国家資格ですが、体力と時間がある若いうちに挑戦すれば、少し取得しやすいかもしれません。
なお、電気工事の分野では、「電気工事士」や「電気主任技術者」の国家資格が必要です。こちらも、最初は現場で経験を積みながら、先輩のサポートを受けつつ資格を取得する人が多いです。
とはいえ、資格取得は特定の仕事以外では、絶対に必要というわけではありません。とにかく、意欲があれば、誰でも目指せるのが職人の世界なのです。
女性の職人も活躍できる時代に
「女性でも職人になれますか?」という質問も増えています。
今は工具も進化しており、女性でも扱いやすいものが増えています。体格や筋力にハンディがあるとしても、道具の進化でカバーできる時代になっています。
特に、内装関係の職種(クロス貼りなど)は、女性の職人さんが増えてきていますし、リペア職人など、力仕事が少ない業種は特におすすめです。
リペア職人とは、フローリングや扉などにできた傷や穴を修復する専門職です。作業は繊細で、ちょっとした絵心や色彩感覚が必要です。たとえば、フローリングの傷を補修する際には、木目の模様を描いたり、色を調合して塗料を作ったりするので、美的感性を活かせる仕事です。また、持ち歩く道具も、医療カバンのようなコンパクトな箱一つで済むので、女性でも無理なく取り組める職種として人気があります。
洗い屋さんは、ハウスクリーニングの仕事で、リフォームの仕上げに必ず必要な工事です。こちらも女性が参入しやすく、活躍しやすいジャンルです。
次回も、職人の世界と、職人という働き方の魅力について、深掘りしていきます。
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