明治、大正時代のレトロ建築は好きだが、昭和の建築もとても好きだ。
上昇気流に乗っていた時代の勢いがそのまま建物に込められている。

多用される流形線、アール開口、天然石、高い天井と吹き抜け、ゴージャスなシャンデリアにステンドガラス。
趣味が良いかは微妙だが、醜悪に陥るすれすれのところで絶妙なバランスを保っている。

昭和建築の良いところは、必ずしも有名建築家の設計でなくても、ユニークで魅力的な建築がたくさんあるところだ。名もなき大工、工務店、オーナーたちが、アイディアと予算を注ぎ込んで建てていたのが、見ているだけで伝わってくる。

潤沢な予算、プロジェクトに関わる全ての人、建築家、ゼネコン、採用されている資材メーカーの担当者、現場の職人達に至るまで、全ての人のやる気とエネルギーがみなぎっている。

建築に関わる人達にとって、幸せな時代だったと思う。

平成と令和の建築は、凹凸がなく、四角い箱型で無駄がなくシンプルなデザインが多いが、面白味はゼロ。コストと工期をかけずに建てることを最優先に設計しているのが、透けてみえてしまう。

昭和には、無くなった方が良い、猥雑で稚拙で過剰な文化とか風習とか価値観とか、いっぱいいっぱいあるんだけど、100年後も残る建築物にお金を使えなくなった日本は、やっぱり悲しい。
20年後の日本の街並みは、平坦でつまらなく、貧相な街並みになっているんだろうな…。

ゴージャスな昭和建築。見られるうちに、なるべく見てまわろう。

ホテルニューオータニ大阪
設計:日建設計
施工:竹中工務店
竣工年:1986年

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