ユニットバスの取替時期とアスベスト
明けましておめでとうございます。
本年も、よろしくお願い致します。
新春のスタートは、年末に工事したユニットバスの取替についてお話します。
下の画像は、築23年のマンションの浴室の床部分です。
この頃のユニットバスには、このような高級感のあるタイル貼のものが発売されていました。
タイルの目地がなくなっているのが、画像でお分かりになるでしょうか?
掃除が行き届き、とても綺麗にお使いではありましたが、上に乗るとタイルが固定されていないためガタガタになっていて不安定です。割れている部分もあり、よく今まで怪我しなかったなというぐらいの痛み具合でした。
お客様の最初の要望は、床のタイルの補修だけでした。割れた部分のタイルを取り替えるだけで、まだ使えると考えておられたのです。
物を大切にするのは素晴らしいことですし、じわじわと物価が上がってきている昨今、なるべく節約したい心理もとても理解できるのですが、床と壁のタイルの目地がここまでなくなっている以上、部分的な補修ではとても済まないだろうと直感しました。
念の為、タイル屋さんと設備屋さんにも、何か良い方法はないかと相談したところ、全員一致で、取替る以外の方法はないとの答え。
はじめは渋っておられたお客様を泣かんばかりに説得し、家族会議をしていただいた結果、めでたくユニットバスを取り替えることに同意していただきました。
いよいよ解体スタート。
壁と床のパネルを剥がすと、タイルの隙間から漏れていた水で金属が錆びており、少量ですが躯体にも水が染み込んでいました。もし、これ以上使用していたら、ユニットの床が割れるか、下に水漏れするか、時間の問題だったでしょう。
やはりユニットバスごと取り替えることを強くお勧めしておいて良かった!と、胸を撫で下ろしていたところ、設備屋さんが不吉なことを言い出しました。
「このパネル、アスベストっぽくない?」
実は、私はこの工事の少し前、「石綿(アスベスト)作業主任者」という国家資格を取得していたのでした。
今後、この資格を持った業者でないと、設備機器の取り替えが出来なくなるというので、とりあえず社内で資格取得しておいた方が良いだろうということで、2日間の講習を尼崎の商工会議所で受けていたのです。
真面目に受講しておれば合格できる資格ではありますが、平日の2日間を調整せねばならず大変だったのですが、学びのある内容ではありました。
というわけで、設備屋さんも資格を取ったばかりの私なら一見でアスベストを見破ると思って無茶振りしてきたのですが、たった2日でアスベストを使用した建材かどうかをひと目で判断できるようになっているわけもありません。
建材には、アスベストの目印なども入っていません。製造された年度から、そうではないかと判断するしかありません。怪しいなと思ったら、製品番号からメーカーのサイトで確認すると、アスベストを使用している製品のリストが閲覧できます。
調べてみると、まさにビンゴでした。通常の廃材とは別に、アスベスト処理の指定業者に回収してもらいます。
アスベストを含有しているユニットバスの壁パネル。手前の黒ずみはサビによるもの。
ちなみに、アスベストを使用した機器を長年使用していたからといって、お客様自身に危害があるわけではありません。これらの建材を解体する際に、工事に従事している業者がアスベストを吸い込んでしまうことがリスクとなっています。このような健康被害を防ぐため、国をあげて、より厳しく処理方法を管理しましょうということになってきているのです。
当初のご予算からは、かなりオーバーしましたが、長年この状態のお風呂に耐えてこられていたお客様は、新しいユニットバスの快適さに感激されていました。
名作家具のように、張り地を直しながら何年も大切に使い続けられるものもありますが、キッチンやユニットバスなどの設備機器は、引っ越した当初は最先端の新品でも、20年もすれば傷んできます。
今回の工事のように、あと少し遅ければ危険だったかもという場合もあります。
我々もプロです。売上アップのために、必要もない工事を提案しているわけではございません。新しい製品は、格段に使いやすく、快適、そして節水、節電にもなるので、長い目でみると費用対効果は計り知れません。どうか、20年を目安にリフォームをご検討ください。
新しくなったLIXILのユニットバス