壁紙選びは遊び心も大切です。
リフォームの打合せの中で、お客様の関心が一番高いのが、壁紙(クロス)工事です。クロスの見本帳をお見せすると、テンションが上がる方が多いです。
新築・リフォームの内装工事では、国産のメーカー品を使用しており、大きく分けて、2種類あります。
クロスの種類
①量産クロス
¥960/m(メートル)
基本的には無地かシンプルな柄で、広範囲の面積に使用できるものを集めています。織物調か石目の塗り壁調の柄が多く、シンプルで地厚なので、下地が悪いリフォームにも耐えうるものが多いのが特徴です。
②1000番クロス
¥1,200/m(メートル)
量産に比べて少し価格は高いですが、多種多様な色柄があります。質感がとても大切なので、地が薄いものが多く、リフォームの際は、下地の凹凸が浮き出しやすいという欠点もあり、施工には注意が必要です。
どちらも、材料費と施工費を含んだ金額であり、使用するメーター数で計算します。
(※価格は当社の単価ですので、会社によってメーター金額は異なります。)
③輸入クロス
国産以外ですと、輸入壁紙を扱う会社もあります。国産品に比べて、値段が高いですが、国産品にはないデザイン性とクオリティがあります。こだわりたい箇所の一面だけ使用するなどがおススメです。(職人さんからは嫌がられます…)
大阪・南港にあるWALPA(ウォルパ)というショップでは、最新の海外メーカーのクロスをメーター売りしています。見たことがないような斬新なデザインがたくさんあり、時間が経つのも忘れます。
〒551-0013
大阪府大阪市大正区小林西1丁目15-12
電話:050-3538-8903
FAX:06-6537-7157
E-mail:osaka@walpa.jp
クロス工事の価格
例えば、約2㎡のトイレのクロスを取り換える場合、壁の幅数が約5メートル、天井高が2.2メートルとして計算すると、必要なメーター数は約11mです。量産クロスの金額にすると、約10,560円で、既存のクロスのメクリ処分と新しいクロスの貼替が含まれます。
このように、リフォームの中でもクロスの貼替は、比較的安い工賃でイメージを大きく替えることが出来る工事なのです。
ただし、現状の壁の状態で施工の手間が全く変わってきます。
クロスを剥がしたあと、パテという下地でいったん壁を平たんにする工程が必要なのですが、現状の壁が古く、既存のクロスをはがした跡がデコボコだったりすると、大変手間がかかる上に、完璧にフラットにするのは難しい場合があります。
たとえ壁の状態が築50年のボロボロの壁だろうと、築2年の壁だろうと、基本的にはお客様が支払う金額は同じです。
どんな状態の壁であろうと、施工する私共は、美しく仕上がるよう最善を尽くします。ただ、上述したような事情があり、特にリフォームの場合は、お客様側にも仕上がりに限界があることをご理解いただく必要があります。
ちなみに、新築のような仕上がりを求める場合は、下地が悪い壁面に石膏ボードを上貼りするか、あらたに壁を作るしかありませんが、大工さんの手間と材料代が上乗せになるので、工期と予算がアップします。
アクセントクロス選びのコツ
よく質問をいただくのが、柄物や派手な色を選ぶと、飽きたり、家全体の雰囲気に合わなくなるのではないかという疑問です。
たしかに、壁は面積が広く毎日目にするので、あまり派手な物を選ぶと浮いてしまうのではと慎重になるのも頷けます。
ただ私の経験では、無難な柄だとかえって目立たず、せっかくのアクセントがアクセントになっていないという勿体ないことになりがちです。とは言え、全ての壁を柄違いにするのもやり過ぎになったり、なかなか加減が難しいものです。
全面柄違い…で思い出したのが、英国BBCのドラマ『シャーロック』。
名探偵シャーロック・ホームズを現代に置き換えた傑作ドラマです。
内容もキャストも何もかも最高のドラマですが、美術セットも抜群で、シャーロックの部屋の壁紙は全面全て違うクロスを使用していました!制作陣がクロス好きで、どの壁紙も捨てがたく、結局全ての面に違うクロスを使用したそうです。
(↑ BBCドラマ『シャーロック』のセットより)
ここまでの猛者には、なかなかなれないでしょうが、遊び心はぜひ見習って取り入れましょう。
柄クロスの使い方
トイレのような狭いスペースは、思い切った色柄が活きる場所です。
全体に貼ったグリーンのクロスは量産、ニッチの凹み部分は北欧の植物モチーフの1000番クロス。かわいい空間になりました。
テレビボードと棚のスペースをフォーカルポイントにして、アクセントクロスには大胆なジャングル柄を採用。柄が派手でも、色はベージュなので上品です。全体に使用しているクロスはシックなグレージュ色。寝室など寛ぎの空間におススメです。
上の画像は、合えて狭い廊下の一面に柄クロスを使用した例です。狭いところほど冒険せず、無難な白クロスを選びがちですが、お気に入りの柄で楽しい空間になりました。
マンション特有の梁と柱。出っ張っていて、家具の配置もしにくくなるし、何より狭く、天井も低く見えるので、マンションにお住まいの皆様には、悩みの種。そこで、そんな邪魔者の梁と柱をあえてアクセントにしてみました。本物のような木目柄と、ブリック柄クロスを柱に貼ったダイニング。嫌われ者の梁と柱をわざと際立たせることで、かえって広く見える目の錯覚を利用しています。
これも上と同じく、梁下にインパクトのある柄、柱型にはイエローのクロスを組み合わせたダイニング。
上は、お手持ちのリトグラフと合うクロスをコーディネートするように依頼された例です。難易度の高い柄ですが、インテリアやアートとぴったりはまりました。
濃い無地カラーを使用した例
白い建具に、セルリアンブルーのクロスの組み合わせ。ブルーが大好きな小学生の女の子のお部屋に採用しました。
深いグリーンが、クラシカルな家具とフローリングの色とよく合って、渋い空間になっています。
テラコッタカラーとインディアンイエローのクロス。家具とカーペットとも好相性でエスニックな空間に仕上がりました。
最後に、壁紙のおおよその耐使用年数をお伝えいたします。
約5~10年です。日当たりの良い部屋ですと、劣化は早く、隙間が開いてきたり、変色もしてきます。所詮は、《紙》であり、消耗品ですので、定期的にメンテナンスするものだという理解が必要です。
クロス工事は、リフォームの中で最もコスパの良い工事です。
10年ぐらいで貼替ることを前提にすれば、保守的にならず、遊び心を持って選んだ方が、毎日が楽しいパーソナルな住まいになるでしょう。